☆成長ホルモン その8 ~その投与方法・副作用・抗加齢療法の問題点~
成長ホルモンの投与方法
成長ホルモンは現時点では注射剤以外の有効な投与方法はありません
糖尿病患者のインシュリンと同じように自己注射(皮下注射)が中心です
Rudmanらは週3日、1日1回各2mgの投与を行いましたが
最近では1日投与量を1/4~1/2程度に減量し
1日2回投与する等の方法により副作用の軽減と効果の増大を目標に
投与方法の工夫が行われています
成長ホルモンの副作用
成長ホルモンは細胞外液を増加させる働きがある為
浮腫、手根管症候群が起こることがありますが
投与量の減量、もしくは一時的な中止により多くは速やかに改善します
また約20%の男性に一過性の関節痛や違和感が認められる事があります
この症状に対しては一週間ほど投与中止後
減量して再開することにより消失します
男性では睾丸の萎縮が25%に認められたとの報告がありますが
これは併用したテストステロンの副作用と考えられ
成長ホルモン自体の副作用の可能性ではないと考えられます
これに対してはHCG注*1の投与により改善します
女性では一過性の体重の増加が27%に認められましたが
上述した浮腫や筋組織の増大に由来する物と考えられており
体重が増加した時点でも筋重量は増加していることが証明されています
筋重量の増加は体力の増強、基礎代謝量の増加に繋がる為
痩せ易く太り難い体質になると考えられます
注*1 HCG (ウィキぺディアより)
Human chorionic gonadotropinヒト絨毛性ゴナドトロピン
妊娠中に産生されるホルモンである
成長ホルモンを使用した抗加齢療法の問題点
成長ホルモンは、遺伝子組み替え技術の進歩により
大量に生産する事が可能になりましたが、いまだに非常に高価です
欧米の一部では成人の低成長ホルモン症は保険適応となっており
現在日本でも検討されているとのことですが
保険適応となる可能性は恐らくありません
国内では主として、美容外科系の施設で成長ホルモンを使用した
“抗加齢療法”が行われており
複数の有名女優が治療を受けているとの噂もあります
しかし、一般に表示されている治療費の平均的価格は
6カ月間で300万円前後であり
なかなか庶民には手の届く価格ではありません
しかも総投与量や併用薬剤、モニタリングの方法等の明確な表示がない為
価格が妥当なものか否か判断しようがありません
当然欧米でも成長ホルモンを使用した“抗加齢療法”は
富裕層に限られています
画期的といえる治療法の恩恵を
庶民が故に受けられないのは残念としか言いようがありません
そんな中、現在世界中で注目を浴び
さまざまな大学や学会で研究されているのが
皆さんご存知の・・・
『加圧トレーニング』です
『加圧トレーニング』の代表的なセールスポイントの一つに
『成長ホルモンの分泌を促す』
ことが挙げられます
東京大学の研究で
通常の約290倍もの成長ホルモンが分泌された例もあるそうです
次回からは『加圧トレーニング』の理論・メカニズム・症例などについて
少しづつご紹介していきたいと思います
【身体のトリビア】 ろく