北の国から~
髪の毛の少ない私にとってこの時期の寒さは堪える。身体の寒さより頭の寒さの方が際立つ。
頭の防寒体制は万全でなければならない。といっても頭に何枚も着込む訳ではない。
年末の帰宅電車の中は忘年会帰りのサラリーマンたちであろうか、さながら阪神ファンで埋め尽くされた阪神電車の車内を彷彿とさせる。
暴徒と化したドランカー達の間をすり抜け名古屋駅を降りる。毎度のことだが東山線の混雑は凄まじい。いや、東京都心はこんなもんではすまないんであろう。
地下鉄を降りた私は名鉄線に乗り換え名古屋本線から須ヶ口を経由して津島線甚目寺駅への家路をたどる。
こちらもご多分にもれずドランカー達で賑わっている。須ヶ口からさらに津島線への乗客が増える。本当に皆元気だ。本当はそうではあるまい。たぶん…
甚目寺駅は乗客が多い。名前からは想像できにくいが実は民家が集中している。駅を降りると肌を刺す、いや頭を刺す空気だ。駅を降りる人ゴミのなかの一部と化して歩いていく。階段を下りると2人連れの男たちが私の前をふらつきながら歩いている、かなり酔っているようだ。私は2人をかわしていこうとするがふらついてかわせない。
2人は私に気がつき道を空けてくれた。『あ、すんません』私はかるく挨拶した。すると2人組のひとりが後で
『オレ、名古屋に出てきて3年、はじめて道でありがとうって言われた』男達は北海道から出てきたらしい。
『ちょっとは地域のイメージアップに貢献できたやろか』
少し嬉しく、少し物悲しい...