2020/10/09
棚の上のものを取ろうとしたり、車の後部座席の物を取ろうとしたら肩に鋭い痛みが走って、肩が固まった・・・
こんな経験がある方も少なくないと思います。
いわゆる『四十肩』『五十肩』と呼ばれる症状で、医療機関での正式な診断名は『肩関節周囲炎』といい、推定患者数が約600万人とも目されている珍しくない症状です。
現在健康館にも数名の肩関節周囲炎の患者さんが来院されていますし、以前勤めていた整形外科にもたくさんの患者さんが来院されていました。
【『肩関節周囲炎』はなぜ起こるのか?】
肩関節は、他の関節と異なり、下から支える部位がありません。
上腕骨は肩甲骨の関節窩という窪みからぶら下がっているだけの状態で、脱臼を予防するために関節は関節包で覆われ、骨同士は靭帯でしっかり繋ぎ止められ、その上をインナーマッスルが走っています。
このインナーマッスルが年齢を重ねることで機能低下を起こすと、三角筋などのアウターマッスルとのバランスが崩れ、関節内でブレが生じることになります。
そしてある日、何でもない動作がきっかけで関節内に微小な傷ができ、炎症が始まります。
炎症が始まると免疫細胞は間髪を入れず反応し、なかには炎症を重症化させる物質や発痛物質を生み出すすものまでやってきて、肩は負のスパイラルに陥ってしまいます。
肩を動かせないほどの強い痛みに襲われる急性期が期が約2~3週間、その後、痛みは少し引くものの、肩が思うように動かない慢性期に移行します。
炎症後の関節包は線維化したり肥厚し、拘縮も生じて機能がさらに低下し『手を上げられない』『後ろに手を回せない』といった状態になります。
実は、 医学の進歩は著しいものがありますが、残念なことに四十肩、五十肩の原因はあまりはっきりしていないようです
(以前勤めていた整形外科の院長先生も同様のことを言っていました)
【『肩関節周囲炎』に関わる危険因子】
インナーマッスルの端は腱になっています。
腱は血流の乏しい部位なので、毛細血管を収縮させる喫煙は危険因子になります。
糖尿病を抱えていると靱帯や腱のコラーゲンの※1糖化に拍車がかかり、関節の動きを担保する伸縮性を損なうので、これもまたリスク因子となります。
(※1糖化:身体に中でタンパク質と余分な糖が結びついて、タンパク質が変性、劣化してAGEs(蛋白糖化最終生成物)という名の老化物質(悪玉物質)を生成する反応のことを言います)
【症状の似た疾患やケガに注意】
肩関節周囲炎によく似た症状が出ていても、肩に問題があるのではなく、胃腸障害や肺がん、心筋梗塞などのシグナルを肩の痛みとして出す放散痛という生理現象がありますので注意が必要です。
健康館でも、左肩の痛みが何回施術しても改善しなかったので、医療機関の受診をお勧めした結果、軽い不整脈が見つかったという例もあります。
また、四十肩に症状が酷似している腱板断裂というケガがあります。
ただの炎症か断裂しているのか、専門家でも判別は難しい症状で、通院や施術を続けてもほとんど回復がしない場合はこの可能性も考えられます。
断裂は自然治癒しませんし、使い続けると部分断裂が完全断裂に至ったり断裂が拡大することもあります。
こうなると手術が必要になる可能性もあり、回復に時間がかかりますので、おかしいな・・・と思ったら早めに専門家に相談してください
天白区 整体 ストレッチ
21世紀健康館