☆正しい姿勢がもたらす教育的効果の検証☆
2020/01/31
平成24年度、25年度の2年間をかけて行われた、早稲田大学『子供の姿勢研究班』と東京都教職員研修センターの共同研究
この研究は
①『正しい姿勢』のもたらす様々な教育的効果(身体的側面、心理的側面、社会的側面)を検証する
②『正しい姿勢』を身に付けさせるための日常の学校生活における効果的な指導の在り方(授業前後の挨拶、朝の会などでの専門的な体操など)を検証する
以上の2つを目的に行われました。
【調査内容】
(ア)心理的・行動的側面のアンケート調査
(イ)座位姿勢の測定
(ウ)立位姿勢の測定
【調査結果】
■学校への適応と姿勢の関係
アンケート調査項目の学校生活適応感(全般:「部活動への意欲」、 「家族関係」、 「教師との関係」、 「学業への意欲」、 「自己肯定感」、 「友人関係」)と座位姿勢の調査結果をクロス集計すると、中学校男女、高等学校男女共に、姿勢の良い生徒が学校生活に満足して生活していることが分かりました。
中学生男子(姿勢よい): 138.45
中学生男子(姿勢よくない): 137.04
中学生女子(姿勢よい): 136.58
中学生女子(姿勢よくない): 135.35
高校生男子(姿勢よい): 135.77
高校生男子(姿勢よくない): 135.47
高校生女子(姿勢よい): 136.32
高校生女子(姿勢よくない): 135.41
■学業への意欲と姿勢の関係
アンケート項目の「学校生活適応感(学業への意欲)と座位姿勢の調査結果をクロス集計すると、中学校男女、高等学校男女共に姿勢の良い生徒が学習に積極的で、学習を楽しいと感じている傾向があることが分かりました。
中学生男子(姿勢よい): 3.20
中学生男子(姿勢よくない): 3.16
中学生女子(姿勢よい): 3.21
中学生女子(姿勢よくない): 3.15
高校生男子(姿勢よい): 3.20
高校生男子(姿勢よくない): 3.18
高校生女子(姿勢よい): 3.20
高校生女子(姿勢よくない): 3.15
■ 自己抑制(セルフコントロール)と姿勢との関係
小学校の児童は、座位姿勢の良い児童は自己抑制(「嫌いなものでも我慢して食べる」、「飽きても宿題は最後までする」、「苦しいときでもじっと我慢する」等)が高い傾向にあることが分かりました。
小学生男子(姿勢よい): 60.38
小学生男子(姿勢よくない): 57.15
小学生女子(姿勢よい): 60.96
小学生女子(姿勢よくない): 58.84
『調査結果からは、姿勢の良い児童・生徒の特徴が分かった。小学生では、座位姿勢の良い児童は、自己抑制(「嫌いなものでも我慢して食べます」、 「飽きても宿題は最後までします」、「苦しいときでもじっと我慢します」等)が高い傾向がある。また、中学校男女、高等学校男女共に、姿勢の良い生徒は、学校生活に満足しており、学習に積極的で、学習を楽しいと感じている傾向がある。』
と結論付けられています。
姿勢は見た目や肩こり、腰痛といった肉体面の諸症状だけでなく、人間関係、学業、意欲、精神面など様々な事に影響していることが示唆される研究結果となっています。
こういった観点からも、子どものうちから姿勢教育をすることは非常に重要と言えるのではないでしょうか。