☆ストレッチは何秒伸ばすのが効果的?セット数は?☆
体調管理やスポーツのためのコンディショニングのために、ストレッチをやっているという方も多いと思いますが、効果的に伸ばすためには『何秒伸ばすのがいいのか?』『何セットするのがいいのか?』は意外と知られていません。
NcNairら(2000)による『足関節への※1スタティックストレッチの効果』についての論文をもとに解説された記事を見つけましたのでご紹介します
※1 スタティックストレッチ = 静的ストレッチ。ゆっくりジワーっと伸ばす一般的なストレッチ
【伸ばす時間は何秒くらいが適切か?】
NcNairら(2000)による『足関節へのストレッチ効果』を調べた実験では、健康な成人を
① 15秒×4セット
② 30秒×2セット
③ 60秒×1セット
の3グループに分け、ストレッチによる筋肉の変化を調べています。
3つのグループとも『総ストレッチ時間』は同じです。
この中で、筋肉の変化に大きな違いが見られたのは、③60秒×1セットのグループのみだったそうです。
また、この実験では
□筋肉の※2粘弾性抵抗が、開始15秒で減少したこと
□腱の抵抗が、開始後20秒で減少したこと
の2点も確認されました。
このことから、スタティックストレッチで筋肉を緩めるには、15秒以上キープする必要があり、セット数を重ねるより、1セットの時間を長くした方が効果が見込めることが分かりました。
※2 粘弾性
粘弾性とは、弾性と粘性を合わせ持つ性質のことを言います。
弾性とは、身体の組織に引っ張る力が加わると、もとに戻ろうとする性質のことを言います。これは、バネをイメージするとわかりやすいです。バネを引っ張ると、直線的に抵抗が増加するという「フックの法則」に従いますが、この抵抗が弾性なのです。これに対して、粘性とは、固い粘土をイメージしてみましょう。固い粘土は、グイッと急激に引張っても伸びません。ジワジワと時間をかけて伸ばしていくとゆっくり伸びていく感じです。このように粘性には時間依存性があり、一定の張力をかけていると、時間の経過とともに伸張される性質のことを言います。
この弾性(バネ)と粘性(固い粘土)の性質を合わせた粘弾性を有しているのが身体の組織であり、筋肉になるのです。
しかし、伸ばす時間が長ければ長いほどいいというものでもないようです。
CrazyとSexana(1991)による『ふくらはぎに対する1日1回のスタティックストレッチの効果』についての実験です。
健康な被験者に対し、6ヶ月にわたってストレッチを実施
①30秒グループ
②120秒グループ
③300秒グループ
の3グループに分けられました。
前述した、NcNairら(2000)による『足関節へのストレッチ効果』を調べた実験結果から考えると、③のグループが最も変化するように思いますが、可動性向上の平均は各グループとも2~3度で、グループ間での有意な差は見られなかったそうです。
NcNairら(2000)による『足関節へのストレッチ効果』を調べた実験と、CrazyとSexana(1991)による『ふくらはぎに対する1日1回のスタティックストレッチの効果』についての実験の結果から
スタティックストレッチは
□最低でも15~20秒以上
□セット数を重ねるより、1セット内での時間を増やした方がいい
□60秒以上になると、時間を増やしても大きな変化は生まれない
と考えることができます。
ただし、ストレッチによる効果の出かたには、年齢や運動歴や柔軟性など個人差がありますので、すべての人に当てはまるとは限りません。
また、色々な説がありますし、ストレッチを行うタイミング(スポーツ前後、毎日のケアとして…など)によっても変わりますので、あくまでも目安として考えてくださいね
ストレッチの強度は『イタ気持ちいい』と感じるくらいがいいと思います。『痛いのを我慢して伸ばし続ける』と、身体に余分な力が入って効率的に伸ばせませんし、継続するのが難しくなります。
15~20秒×2セットを『イタ気持ちいい~』と感じる程度の強度でやってみてくださ~い
ストレッチのやり方など、分からないことがあればいつでもお問い合わせくださいね