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■瞑想が高齢者の睡眠障害に有用
「マインドフルネス瞑想」が高齢者の夜間の睡眠の改善に役立つ可能性があることが、米南カリフォルニア大学(ロサンゼルス)予防医学助教授のDavid Black氏らの研究で示唆された。論文は「JAMA Internal Medicine」オンライン版に2月16日掲載された。
マインドフルネス瞑想とは、一般に、過去や未来でなく今の瞬間に焦点を当て、自分の考えや感情を客観的に見ることを促す。Black氏らによると、マインドフルネスの実践法を学んだ高齢者では6週間以内に睡眠が改善されており、これは従来の訓練法より優れているという。
今回の研究では、睡眠の質に関する標準的な質問票への回答から「中等度」の睡眠障害を有するとされた高齢者49人を対象として、睡眠「衛生」教育またはマインドフルネス訓練のいずれかの6週間のセッションに無作為に割り付けた。
マインドフルネス群は異なる瞑想テクニックと、食事や動作により注意を払う方法を学んだ。ただし睡眠不足への不安をあおらないよう、睡眠については特に扱わなかった。
研究終了時までに、マインドフルネス群の睡眠障害尺度スコアは平均で約3点低下した。一方、標準教育群の低下は平均1点であり、マインドフルネス群のほうが有意に大きく改善していた。また、マインドフルネス群のほうが抑うつ症状、日中の疲労も改善しており、その便益は睡眠薬や認知行動療法「トークセラピー」と同等だった。
Black氏は、「今回の結果から、経験豊富な有資格教師によるマインドフルネス介入を試す価値がある。睡眠障害は精神の影響を受けるが、同時に精神に影響を及ぼしてもいる。『中立的なマインドフル意識』を学ぶことで、思考や感情を客観的に見ることができるようになる」という。
原著論文はこちら
Black DS, et al. JAMA Intern Med. 2015 Feb 16. [Epub ahead of print]
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25686304
21世紀健康館 牧野