☆成長ホルモン その4 ~成人成長ホルモン欠乏症~☆
成人成長ホルモン欠乏症
Rudmanの報告が世界的に注目された年、『New England Journal of Medicine』
と同様に世界的な医学誌『Lancet』にRosenとBengtssonらによる
スウェーデンでの下垂体機能低下症患者の予後調査が報告されました
その結果、健康な同世代の方と比較し、下垂体機能低下症患者の死亡率は
2倍であり、死因としては心臓血管疾患が2倍に至ることが報告されました
(成長ホルモンは下垂体から分泌されます)
以前は死体から採取された下垂体から成長ホルモンを抽出していた為
小児の成長ホルモン欠乏小人症の患者に投与することで精一杯で
成人成長ホルモン欠乏症に対する治療概念すら存在しませんでした
しかし、その後、遺伝子組み換え技術の進歩により大量の成長ホルモンが
生産されるようになり、成人成長ホルモン欠乏症に関して
治療が行われるようになりました
成人成長ホルモン欠乏症の症状
1. 内臓脂肪蓄積型肥満
2. 除脂肪体重の減少
3. 薄く乾燥した皮膚、冷たい手足、発汗
4. 筋力及び運動能力の低下
5. 不安感増大、うつ状態、情動の不安定化など
6. 高脂血症、特にLDL-Cho(悪玉コレステロール)の増加
日本にける間脳下垂体機能障害調査研究班の報告によると
成人成長ホルモン欠乏症例は、正常例に比較すると
心血管障害の保有率が高く、特に狭心症例が高い事が分りました
また、動脈硬化の危険因子である
高血圧、糖尿病、高脂血症及び肝障害の保有率に関して知れべてみると
すべての保有率は成長ホルモン欠乏症例に高く
特に高脂血症が高い事が分りました
さらに、正常例では危険因子の重複例は2.9%であったのに対し
成長ホルモン欠乏症群では
高脂血症と糖尿病の重複例が8%
高脂血症と高血圧の重複例が11.8%と高値を示しました
次回は日本抗加齢学会監修の『加齢度チェック表』をご紹介します
お楽しみに~
身体のトリビア ろく でした