食育 vol.8
お正月も1週間を過ぎましたが、いかがお過ごしでしょうか?
さて、食卓に並んだお宅もそうでないお宅もあったと思います。
そう、伝統の「おせち」について、ちょっとだけご紹介します。
おせちの由来
そもそも、なぜ「おせち」というのでしょう?
「おせち」は御節料理のことですが、これは、季節の変わり目(=節)の
大切な日(=節日)をお祝いする行事(=節供、節句、節会)のために、
神様にお供えする料理(=節供料理)という意の
「御節供(おせちく)」を略したものです。
神様にお供えしたものを分かちあうことで結びつきを深め、
供に祝い、その恩恵にあずかるという意味があります。
本来はお正月だけのものではありませんが、
年に何度もある節日の中で正月が最も重要だったため、
おせちといえば正月料理をさすようになりました。
おせちの歴史
おせちのルーツは平安時代の宮中行事で、
元日や五節供(五節句のこと)などの節日に
節供料理をふるまう習わしがありました。
それは当時の庶民には縁遠いものでしたが、
江戸時代に一般大衆に広がり、やがて1番目の節日であり
最も重要な正月の料理を意味するようになりました。
お正月は、五穀豊穣を司る年神様をお迎えし、
新年の幸福を授けていただく行事なので、収穫物の報告や感謝の意をこめ、
本来はその土地でとれたものを用いますが、
暮らしや食文化が豊かになるに従って山海の幸を盛り込んだご馳走となり、
現在のおせちの原型ができました。
また、おせちに保存の効く料理が多いのは、
お迎えした年神様が静養できるよう台所で騒がしくしないため、
かまどの神様に休んでいただくため、神聖な火を使うのを慎むため、
多忙な女性が少しでも休めるように、などと言われています。
重箱のしきたり
おせちは年神様への供物であり、家族の繁栄を願う家庭料理でもあるため、
縁起のよいいわれやしきたりがたくさんあります。
そのひとつが重箱に詰めることですが、なぜ重箱に詰めるのでしょう?
・「福を重ねる」「めでたさが重なる」という意味があります。
・昔は祝い肴を「喰積(くいつみ)」と呼び、重詰めにしていたことに由来します。
・年賀に来るお客様にも振る舞えるように。
・保存しやすい。
また、重箱の詰め方にもしきたりがあります。
・正式には五段重。1段目から4段目までは料理を入れ、
5段目は年神様から授かった福を詰める場所として空っぽにしておきます。
・各段ごとに詰める内容が異なり、それぞれの料理に
家族の幸福を願う気持ちが込められています。
・各段の料理の数は、5種・7種・9種の吉数で詰めると縁起が良いとされています。
現代のおせちはとても多彩になりましたが、
こうした知恵とこころを上手に取り入れてみてはいかがでしょう。
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